半導体分野では、金属/半導体界面の研究も重要であることから第一原理計算を用いた報告がされています。そこで、ここでは、2つの結晶構造から界面モデルを作成し、ショットキーバリアなどを計算する方法を紹介します。ここでは、シリコンとアルミのモデルで行った簡単な例を示します。計算にはZ軸の周期境界を外して計算した方がよいため、ESM法を用います。

1.界面モデル作成

格子定数および構造最適化した結晶構造を基に、Advance/NanoLaboを使用して界面モデルを作成します。NanoLaboでは、各格子の割合、マッチングの計算、簡単な界面最適化まで行うため、簡単に界面モデルが作成できます。

図1 Siの111面のスラブとAlの111面のスラブを作成

図2 界面モデルを作成した様子

NanoLaboで作成した構造をCIFファイルにエキスポートしExabyteにアップロードして計算を行います。

図3 CIFファイルにエクスポート

図4 Exabyteにインポートし可視化

2.構造最適化

Quantum ESPRESSOで構造最適化するには、すでに用意されているworkflowを用いることで簡単に行うことができます。

図5 構造最適化のworkflow

図6 最適化後構造

3.ESM法で計算するためモデル作成

図7 ESMの計算で用いるモデル

最適化した構造を基にESM法で用いる構造を作成します。ESMで用いられる構造は、通常の構造ではないですが、Exabyte.ioではESMのモデルを簡単に作成することができます。

4.ESM法

ESMの計算を用いることで精度よく仕事関数、ショットキーバリア等の物性が求められますが、入力設定や可視化が必要になります。Exabyte.ioでは既に用意されていますので、複雑な計算設定など必要ありません。

図8 ESMの計算ワークフロー

図9 計算結果画面

図10 ESM計算で算出してポテンシャルエネルギー

ESM法を用いることで、セルの端のポテンシャルエネルギーが0なります。両端のポテンシャルの差を取ることでショットキーバリアになります。また単純なスラブモデルを計算し、フェルミ準位との差を取れば仕事関数になります。

5.計算コスト

表1 計算コスト

構造最適化0.78ドル
ESM法によるSCF0.06 ドル

原子数24、点が3×3×1、波動関数のカットオフ40Ry、電子密度のカットオフ200Ryで行った場合のコストを示す(表1)。