これまでにモデリング方法について紹介しました。ここでは、モデリングを終えたチオフェン骨格の有機結晶のバンドギャップ計算方法について紹介します。(モデリングについては、こちらから)
有機結晶のバンドギャップ計算方法を順に説明していきます。
- 周期境界を適応した分子の構造最適化
- 最適化構造を基にバンドギャップ計算設定
- 計算結果の可視化
1.周期境界を適応した分子の構造最適化
周期境界を適応した分子構造を選択した後、弊社で作成したワークフロー「Variable-cell Relaxation (QE6.3) OLED」を選択します。
図1 ワークフローの選択
弊社のワークフローでは、有機分子の計算ができるように、ファンデルワールス補正するためのDFT-D3などを加えています。このワークフローは、Exabyte.io上で公開していますので、ユーザは誰でも使用することができます。
図2 ワークフローの例
構造最適化した結果以下になります。
図3 構造最適化した結果
2.最適化構造を基にバンドギャップ計算設定
最適化構造を基にバンドギャップを求める計算では、ハイブリッド汎関数HSEを用いて計算を行います。こちらも計算についても周期境界を適応した分子構造が計算できるように弊社でワークフロー「Band Gap + DoS - HSE (QE6.3) OLED」を作成しています。このワークフローは、DFT-D3とHSEが設定されたワークフローになっています。
図4 ワークフローの作成
3.計算結果の可視化
HSE法で計算した場合のDOSやバンドギャップが可視化されて表示されます。
図5 結果の可視化の様子