ハイライト
  • ニューラルネットワーク(NN)を使用して原子間ポテンシャルを作成する方法を開発
  • NNのトレーニングデータを生成するために、ab initio分子動力学(AIMD)シミュレーションを実行
  • 開発されたNNポテンシャル(NNP)は、MEAMポテンシャルを使用したMDシミュレーションとその実験を比較検証
  • NNPを用いたMDシミュレーション(NNMD)では、Ti 2Nの強度と脆性が高いことが判明
  • DeePMD-kitを用いたNNMDを実施

図1 TiNおよびTi2Nシミュレーションモデルの荷重時間と亀裂成長長さの関係

概要

窒化チタン(TiN)は、その優れた耐摩耗性と耐食性により、さまざまな用途で使用されています。岩塩型の結晶構造を持つTiNは広く研究されてきましたが、非岩塩型の相の存在(例:Ti 2N)第一原理計算から最近報告されたばかりです。分子動力学(MD)シミュレーションは、機械的特性を予測するための強力なツールですが、通常、原子間ポテンシャルが必要です。岩塩TiNの従来の多体原子間ポテンシャル(たとえば、修正された埋め込み原子法(MEAM)ポテンシャル)は、これらの他のフェーズには適用できません。

そこで、原子間ポテンシャルを作成するためのニューラルネットワーク(NN)ベースの方法を用いて、ニューラルネットワークポテンシャル(NNP)を作成しました。TiNの機械的特性では、作成したNNPを用いたMDシミュレーション(NNMD)とMEAMポテンシャルに対してその実験と比較したところ、NNMDの方が実験値に近い結果となりました。またNNMDから他のフェーズ(Ti2 N)の強度と脆性が高いことが判明しました。

図2 NNMDまでの工程図