アップデート内容

Advance/NanoLabo v.2.5では、Advance/NeuralMD Ver.1.6 に搭載された「自己学習ハイブリッドモンテカルロ法」を制御する機能が追加されました。

自己学習ハイブリットモンテカルロ法の仕組み
①計算モードを自己学習ハイブリッドモンテカルロ法(SLHMC)に変更
②計算条件などを設定して計算実行
③計算完了後に力場ファイルをエクスポート

自己学習ハイブリッドモンテカルロ法とは

自己学習ハイブリッドモンテカルロ法は、日本原子力研究開発機構により開発された第一原理モンテカルロ法のアルゴリズム1)です。モンテカルロ法における提案構造としてNeural Network力場による分子動力学計算のトラジェクトリーを適用することで、モンテカルロ計算自体については第一原理の精度が保証されつつ、効率的な構造のサンプリングが実現できます。モンテカルロ計算の実行と同時に、各構造で計算された第一原理計算の結果を利用してNeural Network力場の学習についても並行して実施されます。その結果、当該手法を実行すると対象とする系に特化したNeural Network力場が自動生成されることになります。
1)Y. Nagai, et al., Rhys. Rev. B 102 041124 (2020)

α-Al2O3での計算例。
1000~2000ステップで十分に良い精度の力場が生成される。

自己学習ハイブリッドモンテカルロ法のメリット

  • ユーザーの練度や作成手順に依存せず、常に同水準のNeural Network力場が生成可能。
  • 計算プロセスが自動化されているため、ユーザーが行うべき操作が極めて少ない。
  • 操作手順が少ないことに加え、教師データの数も低減できる傾向にあるため、力場作成に要する時間を大幅に削減できる。
    これまで数週間掛かっていた作業が半日~数日ほどに。
  • モンテカルロ計算の結果を使って、厳密に第一原理の精度で物理量の評価が可能。

クラウド連携した環境

Mat3raAzureCycleCloudの環境と連携させることで、より効果的に自己学習ハイブリッドモンテカルロ法を活用することができます。 Mat3raやAzureCycleCloudに環境を設定済みです。

Mat3raにNanoLabo Toolを設置