概要

リチウムイオン二次電池の正極材料であるLiCoO2を採用してNEB法によるLiイオン拡散現象の解析を行うことにより、拡散過程におけるLiイオンの活性化エネルギーや構造変化を解析しました。

計算モデル

図1  LiCoO2の構造をインポート

Exabyte.ioのオンラインデータベース検索機能を使い、LiCoO2の構造をインポートしてモデルを作成しました。

Exabyte.ioのモデリング機能を使い、3 x 3 x 3 のスーパーセル(原子数:108)を作成しました。格子定数には、ユニットセルの格子定数最適化で求めた値を用いました。

図2  3 x 3 x 3 のスーパーセル(原子数:108)を作成

計算条件

表1 計算条件

第一原理計算ソフトQuantum ESPRESSO
交換相関汎関数GGA-PBE
波動関数 カットオフ40 Ry
チャージ カットオフ200 Ry
k点分割3 x 3 x 3
収束閾値10^-6 Ry

擬ポテンシャルには、Exabyte.ioがデフォルト設定しているものを用いました。

図3 計算設定

計算結果

QEを用いたNEB法でのLi拡散の経路を 図4 に、エネルギー曲線を 図5に示します。活性化エネルギーは0.64 eVとなりました。

図4 NEB 法における Li 拡散の経路 画像クリックでアニメーションとなります。

図5 NEB 法における Li 拡散の活性化エネルギー