NEB計算により、白金Ptの111表面上を移動する酸素O原子の活性化エネルギーを求めることができます。
Pt表面にO原子を設置したモデルは、Exabyte.ioのMulti-Material 3D Editorを使用することで作成できます。hollow-HCPサイトとhollow-FCCサイトにO原子を配置したモデルを作成し、各々構造最適化を行ないます。

図1 hollow-HCPサイト(a) とhollow-FCCサイト(b) に酸素原子を配置したモデル

次にMaterials DesignerのInterpolated Setを使って、NEB計算用のモデルを作成します。ここではinitialをhollow-HCPサイト、finalをhollow-FCCサイトにして、中間のイメージモデルを3つ作成しています。作成したモデルを保存し、workflowのNudged Elastic Band(NEB)を用いてNEB計算を行います。

図2 NEBモデル作成の様子

表1 計算条件

項目詳細
計算ソフトQuantum ESPRESSO
擬ポテンシャルPt_pbe_gbrv_1.4.upf
O_pbe_gbrv_1.2.upf
カットオフ 波動関数40 Ry
カットオフ 電子密度200 Ry
k3 × 3 × 1
収束閾値10-6
mixingパラメータ0.3
原子数49原子
Pt:48
O:1
CPUIntel® Xeon® CPU
CPU E5-2667 v3 @ 3.20GHz
コア数15 core

NEB計算により、hollow-HCPサイトからhollow-FCCサイトにO原子が移動する際のエネルギー曲線が求まります。

図3 hollow-HCPサイトからhollow-FCCサイトにO原子が移動する際のエネルギー曲線

図4 hollow-HCPサイトからhollow-FCCサイトにO原子が移動する計算結果(上)
画像クリックでアニメーションとなります。

図5 hollow-HCPサイトからhollow-FCCサイトにO原子が移動する計算結果(側面)
画像クリックでアニメーションとなります。

計算から求められたエネルギー障壁は0.53 eVでした。先行研究で計算された値は0.5 eVであり、今回の計算結果を近い値になっています[1]。実験値は0.43 eVで、計算値は実験値と近い値になっています[2]。

参考文献

[1] Pang Q, Zhang Y, Zhang J M, et al. Structural and electronic properties of atomic oxygen adsorption on Pt (111): A density-functional theory study. Appl Surf Sci, 2011, 257: 3047-3054

[2] J. Wintterlin, R. Schuster, and G. Ertl, Existence of a “Hot” Atom Mechanism for the Dissociation of O2 on Pt (111), Phys. Rev. Lett. 1996, 77, 123 - 126