概要
第一原理計算は、様々な物性を計算することができるため、近年の材料設計に欠かせないツールになっています。その物性の中の1つ、結晶構造の弾性定数の計算について紹介します。
モデル作成
Exabyte.io上から、結晶データベースのMaterial Projectsに繋ぎ、Siおよび6H-SiCの結晶構造をダウンロードして使用します。
図1 Siの結晶構造
図2 6H-SiCの結晶構造
計算
Exabyte.ioのworkflow機能を使い、弾性定数を求める計算フローを呼び出して計算を行います。最後に計算に使用する計算コアを設定した後、クラウドコンピューティングを実施します。
計算結果
Si結晶の弾性定数を下記に示します。
表1 Si結晶の弾性定数(GPa)
C11 | C12 | C44 | |
---|---|---|---|
Exabyte.io | 152.5 | 54.5 | 75.4 |
実験値 [1] | 166.0 | 64.0 | 79.6 |
実験値とは少しずれはあるものの傾向は一致しています。
6H-SiC結晶の弾性定数を下記に示します。
表2 6H-SiC結晶の弾性定数(GPa)
C11 | C12 | C13 | C44 | C33 | |
---|---|---|---|---|---|
Exabyte.io | 476 | 100 | 48 | 155 | 519 |
実験値 [2] | 501 | 111 | 52 | 163 | 553 |
計算値が実験値と近い値になっていることが分かります。第一原理計算を用いることで、弾性定数の予測を行なうことができます。
参考文献
[1] http://www.ioffe.ru/SVA/NSM/Semicond/Si/mechanic.html#Elastic
[2] Kamitani, K., M. Grimsditch, J.C. Nipko, C.-K. Loong, M. Okada, I. Kimura, The elastic constants of silicon carbide: A Brillouin-scattering study of 4H and 6H SiC single crystals. J. Appl. Phys. 82, 6 (1997), 3152-3154.