金属鉄鋼、電池、触媒などの分野で求められる金属表面エネルギーの計算について紹介します。金属表面エネルギーが分かると、その材質の強度、表面の反応、接着性などの予測が行なえるようになります。算出されるエネルギーの妥当性について、論文 [1] の値と比較します。
モデル作成
Exabyte.io上から、結晶データベースのMaterial ProjectsからFCC構造のAu、Pt、Cuの結晶構造の構造をダウンロードした後、モデラーを使って金属表面111面のスラブモデルを作成します。
図1 スラブモデル設定画面
図2 金属スラブモデル作成後の画面
計算
計算設定の画面から作成したスラブモデルを読み込み、金属表面モデルを計算するworkflow(Surface Energy)を選択します。VASPバージョンとQuantum ESPRESSOバージョンが用意されていますので、ユーザーが計算で用いたいソルバーのworkflowを選択します。ここでは、Quantum ESPRESSOバージョンを用います。
図3 Surface Energyのworkflow
図4 計算結果表示画面
計算結果
ほぼ同じ値および相関になっており、表面エネルギーを正確に求めることができています。
表1 計算結果
参考論文
[1] Z. Crljen, P. Lazic, D. Sokcevic, R. Brako, Phys. Rev. B, 68, (2003), 195411